大胆な矢絣文様のお着物に
同じ配色で紅白の椿が刺繍された帯
着物・帯・半衿共に
アンティークで揃えました
今回はこの着物と帯についてのおはなし

着物スタイリストCadbunnyの日々の装いを紹介
季節の着物の選び方やコーディネートのコツ、スタイリングの楽しみ方、配色バランスなど
スタイリストとデザイナーを兼ね備えたCadbunnyの目線で綴るプライベートエッセイです

お着物に施されている
矢羽根文様は古くから
縁起の良い柄として、
男性にも女性にも、
女学生にも、好まれた柄
こんなにも大きな
矢羽根文様は(矢絣とも言います)
アンティークならでは
生地は染めの紋錦紗(もんきんしゃ)でしょうか
絹の肌触りもよく、
地模様がとても美しいのです

帯には大きな椿の刺繍が
椿は12月から4月にかけて咲く花
花言葉は
「控えめな素晴らしさ」「謙虚な美徳」
他にも「罪を犯す女」という恐しい花言葉も…
気分によって使い分けたい花言葉でありますね笑
わたしの教科書「日本の伝統紋様」によると
【ツバキは華やかな植物である。
美しい花は、一重・八重・斑(ぶち)などあって、様々に変化する。
だから、ツバキに魅せられる人は多い。
しかし、中には、花がとつぜんぽとりと落ちたりして、
縁起がわるいなどといって避ける人もいる。
が、俗説で気にすることはない。
華やかな椿文のよさを認識しているのはクロウト(専門家)である。】
とのこと
そんな影のある美しさの代名詞のような椿を
より引き立てるのは、やはりこの大胆な色なのです...!
此度の着物と帯は、以下3つの配色で成り立っております
◆ 日本の伝統色 ◆

蒲公英色は、言わずもがなタンポポの花の色
明るい気持ちになる色
シアン5%+マゼンタ18%+イエロー88%の混合色
グラフィックデザイナー的に言うと、
シアンが5%だけ入っている!ということに
ぜひ注目したい所なのです
微妙な青みを入れることで、鮮やかだけども
どこか落ち着く色になるように思います
このような手法を(手法と言って良いのか知らんけども)私も混色する際に使います

萌葱色は、シアン87%+マゼンタ48%+イエロー77%+ブラック8%
こちらはブラックが8%
たった、ほんの少しの黒が
深みを感じさせてくれるのです

濃紅は、シアン43%+マゼンタ99%+イエロー71%+ブラック6%
こちらもさらに少しのブラックエッセンス
そしてなによりマゼンタが99%という所に
心惹かれます!
-1%の美学が此処に
わたしが今回装ったお着物と帯は、
作られた時代が近いと予想されます(おそらく大正〜昭和初期)
とは言え、あつらえたようにこんなに色がピッタリな組み合わせって、
そう簡単には出逢えません
作者も違えば、着物と帯がセットでなんか出回ってなかったはずで
こんな着合わせを当時の方はもそもそもしないかも
作られた時代が近い故に、似たような染料を使って染めたのかしらんと想像すると
こんなにも鮮やかなお着物を着た人達があちらこちらに歩いている風景が目に浮かぶようです
時代を経て巡り巡って、今
この着物と帯がここに居る
ありがとう着物
ありがとう帯
ありがとう素敵な配色
ーーー
今年の2月は深い深い雪に囲まれて
空も地上も真ん中も
見たことないくらい
真っ白な銀世界の札幌でした
こんなに鮮やかな色のお着物ならば、
吹雪の中でも遭難しないことでしょう♪
ー時代背景や配色を想うだけでも
装いは、気持ちを明るくしてくれますー
二〇二二年二月末日
Cadbunny
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